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心理カウンセリング序説(2)のテーマはクライアントと「語る」ことでした。

心理カウンセリング序説 放送大学
前回の授業で、他者によって「受け止められた」と心身で感じられたときに
その関係性の中から不思議にも変容のプロセス・自己治癒のプロセスが動き出す
「聴く」ことの役割について学びました。
 
今回のテーマは「語る」ことです。
 
最初の例はコップから水を飲めなくなったクライエントの事例です。
フロイトの患者であったこの方は、自分がなぜそうなったのか不思議でした。
 
ある日、あまり好きではないイギリス人話し相手女性(そんな職業があるなんてビックリです!)の飼っている大きな犬がコップから水を飲むのを見て気持ち悪くなった、という話をしたとたんに、するりと水が飲めるようになったのでした。
 
「語る」ことと「聴く」ことがセットになった時、自己治癒のプロセスが働きはじめる・・・人間って面白いですね。
 
ところが、私達の生きている現代社会は相当に語る事に制限があります。
私自身の悩みの種も、お金や生活、人間関係、恥ずかしいこと、ずるい事、家族の事が大半です。
この事について自由に語れる場がなかなかないので、普段は誰にも話さず心の内にしまってあります。
 
元気な事、健康な事については歓迎されやすいですが、影についてこれほどおおっぴらに語る事は難しいと感じています。
 
「話し」「聴く」ことで、自己治癒のプロセスが働きはじめるのが人の心に仕組みだとすると
影の体験については、なかなか解消されることなく、澱のように溜まりやすいということになります。
 
カウンセリングの技術として、ここではどんな事を語っても大丈夫、
受け止めるし、秘密を守るという約束をするのですが、
それが本当に実行されるか、クライアントが見ている時期があります。
 
私も以前、社内の悩み事を会社のカウンセラーに話すには、抵抗があった事を思い出しました。
それでも他愛もない事や仕事と関係のない悩みを話すことで少し楽になった時間でした。
 
フロイトの患者さんで、10年間ずっと通い続けて世間話ばかりしていた方が
ある日「やっと話せる準備ができました」と語りはじめた事があったそうです。
 
「話す」ことだけではなく書く事や作る事でもカタルシスを得る事ができます。
フロイトは自分自身の事をずっと手紙で告白し続けたそうです。
ユングは石工職人に弟子入りして、自分で思うがままの家を建て続けました。
 
おそらく、深いトラウマを得た人が音楽や漫画に没頭するのも
表現することと、受け入れてくれる人と出会うことで、
本能的に自己変容・自己治癒のプロセスをキックしているのだと思いました。
 
ユングの石の家です。
50代になってから、職人に弟子入りしてここまでのモノを作れるようになるなんて、これはこれでいい話ですよね^^